星のしずく暮らし

自然と共に ゆったり暮らそ

内山節さんの講演会に行ってきました☆

11月13日に熊本での展示会の搬入に引っ掻けて、内山節さんの講演会に参加してきました。



私は、内山節さんの事は、全く知らなかったのですが、先月熊本に行った時に「6月25日「哲学塾東京分校(の・ようなもの)」セミナーより『哲学は未来をどう語れるか』復興と脱原発から生命・自然・労働を考える」という内山節さんの考えるこれからの社会についてのプリントを頂く機会がありました。



それを読んでみて、お話聞いてみたいなぁ〜と思って☆



まずは、東京と群馬県で二重生活されている内山さん自身の生活の中での放射能汚染状況について。


都会はアスファルトで覆われているので雨等で放射性物質は流され、処理場や海へと流れていくけれど、自然のある場所では、移動せずに留まるので、自然の豊かな場所の方が深刻な汚染状況だというお話。


田舎の自慢できたところ、自然が豊かでキノコが採れて、落ち葉で堆肥を作ったり…という事が、危険な事ばかりになって、一番安全な肥料が化学肥料になってしまった。



そんなお話の中で、ちょっと印象に残ったのは、三重のレストランで0.15という、とても高い数値の出ているお店があり、なぜかなぁ〜と思ったら、雨樋からの水などが流れる場所のすぐ横にクーラーの室外機があり、それを通じて室内に汚染された空気が入って循環してしまったのではないか…というお話。

距離に関係なく、こういう事もあるのですね…




講演の内容は、

未来へのつながり
〜何を創るかから、何を残すかへ〜


―変わりゆく世界を直視して


群馬県、2001年の「新総合計画」


限界をみせはじめた現代世界


東日本大震災からみえてきたもの


地域の「労働の系」とコミュニティ


―未来とつながる人間の生き方を



レジメをざっと書くと、こんな内容で、お話は進められました。



自分達の知っているものは、イメージにすぎないというお話。

なぜ、真剣ではなかったのか…

原発は、遠くにあると思っていた。

ある自分のイメージで掴んだものを元に議論していて、そのものを言ってはいないという事。


TPPにしても、取り残される様なイメージを持った人が推進しているけれど、実際にはよく知らない。単なるイメージにすぎない。
あるイメージを持つと、それ以上見ず、勉強しようとしない。


明確にし、注意深く見続ける事が大切だと。



具体的なTPPの問題点についても話されていました。




未来を考える時、5年計画なら、何を創ろうか…と考えるけれど、100年計画で物事を考えるならば、創ろうとする事は、意味がなくなる。

100年後に何を残そうか…という事へ発想を転換してゆくと、残すものとしての自然・コミュニティ=共同体・一次産業・手仕事・地域文化 、その大切さについてのお話。


今まで人間がまじめに働けば働くほど環境、地域、家庭を壊してきたけれど、これからは、環境も地域も家庭もよくなる様な働き方を考えないと!って。


一次産業の消えた社会は人間に安定を及ぼさない、絶対に無くしてはならないもの…と100年後に最低限、これだけは残したい自然や自然と共に生きる生き方、知恵や技、手仕事と共にある社会などお話下さいました。



100年後の事を考えて残す発想で今行動してゆく…というのは、とてもいいなぁと思いました。



そして経済発展を中心に考えた資本主義の社会のあり方について。


共同体、自然との共同体ならばお金でなく回っていくので、ポケットのお金の量は問題なく、繋がり合って豊かに暮らしていけるけれど、国が一元管理できる様にバラバラの個人にしてしまい、共同体が崩れ、様々な事が出来ないから買わないといけなくなる。


昔は、田植えや稲刈りや味噌作りなどの作業は、家族で地域でみんなでしていたのに、バラバラになってしまったので、個人で出来なくて機械を買って一人で作業したり、お味噌や梅干しなんかも買う様になってしまいましたよね。


自然と共存する知恵が、外で働く様になって次の世代に受け継がれなくなった事に、私も常々危機感を感じていました。




買う為に働く様になり、消費で繋がりを補わなければならなくなる。


そうして消費は拡大し経済発展するという資本主義のあり方。

個人の利便性を高めようとすればするほど、巨大な管理システムがなければ成り立たない。


でも、個人の利便性と言いながら個人ではどうしようもなく対処できない上に成り立っているというお話。

例えば、個人個人の携帯電話からコンセントに繋いで自分のモノと思っているけれど、メーカーの大きなバッテリーシステムがあってはじめて、自分の携帯が使えるのだという事。




中を取り持つ人、流通業者の回復の大切さも言われていました。

以前は、製造者を守り、製造者にも消費者にも配慮しながら、人によって価値を変えて融通し、地域社会でスムーズに回る様に売っていた。

大きなスーパーには、この人は大家族で大変だから…とか、老人だけだから…とかという配慮がない。


ちゃんと地域に流してゆく知恵、どんな使命を持ってするのか、見つめ作り流通業を育ててゆく。






先進国は、植民地からの収奪によって富の独占の上で、ある種の自由・平等を感じている、真面目に働いて作ったものではないというお話。



日本の社会感は、社会の構成メンバーに自然と人と生者と死者(神など目に見えない存在)も含まれていた。


みんな共に生きるという考え方。

畑も過去の人々がいるから出来る、土台を作ってくれた先輩達に対する有り難いという気持ち。ご先祖様に守られているという感覚。
それらのやってきた事、想いを受け継ぎ、変えつつ、人から人へ歴史を繋いできた。





ソーシャルビジネスやソーシャルバンクという自分達の社会を変えながらできる社会的な支援、継続的なビジネス形態についてのお話。


長期に渡って継続的な支援で、仕事を作り、あるものは、強く結び、あるものとあるものは、ゆるく結び繋がり合う様なコミュニティのあり方。
新しい形のいろんな労働が大きな繋がりをもつ様な社会。


これからコミュニティを、ビジネスを作っていく。

ボランティアでもいいので、一つの活動を通して、経済的循環があればいい。

その中で流通の人を育てたり、多様なビジネス形態を作って、若い人に渡していく。



日本のエネルギーについても話されていました。

自然エネルギーは、夢のエネルギーで絶望的だと。

巨大なスケールで物事を考えず、小さな地域を積み上げる事が大切だと言われていました。


その地域地域で、エネルギーの事も考え、ここは自給できる、じゃあ都会はどうするか…と、また議論してゆくと。







質疑応答の際に出された質問に対して、お話されていた事で、共感した事があります。



確か、休耕田や荒らされた土地であっても田舎では売ったり貸したりしてもらいにくい事に対しての答えだったと思います。



私有財産権が強すぎる、本当に必要なのか…


ちゃんと使っている農地や住んでいる家に関しては、固定資産税の減免措置(100%減免でもいい)し、荒らしてたり、空き家になってれば、すごく高いので、売ったりして他に渡す様な、きめ細かいルールを作っていくといいとのお話。


住宅・森林・農地など、自分のモノではなく、みんなのモノを使わせて頂いているのが所有権だという発想は、とても共感できました。

お金も同じで、私有財産権が強すぎると。


100%自分のモノと思わずに、20%は、みんなのモノを預かっているから、みんなに返す、出して面白い事に回していく。

自分のお金をどう使えば、社会が良くなるかを考えてゆく。


共感!
滞りなく、全ての人が豊かに暮らしていける様に行き渡るシステムにしないとなぁと思います。



内山さんは、よく多様な形態の大切さを語られ、いろんな形があっていいし、それが参入できる仕組みを考えればいいと話されていました。

自治という事に関しても、自分達や住民が自治できる広さを考え、小学校の学区くらいの広さがいいかなぁ…と。


集落ごとに村がある様な、独立した小さな行政が、たくさん機能していて、住民が直接少ない人数で分かち合ってやってる様な…学校管理やゴミ処理に関してはたくさんのNPOがあるような…

そんなお任せにしない、決意が大切だと話されていました。

国は、何処かに攻められるとか、大きな被害が広がり、意思決定に時間がかけられない様な時に国が責任を持って決めて、イヤな時は次の選挙で落としてくれ!という形で、決めてゆく。
意思決定に時間をかけていいものは、小さな所で決めてゆく、役割分担にすればいいとのお話。



都会に住む方々についてのお話もされていて、その中で銀座みつばちプロジェクトのお話をされていました。


できる形は限定的でも、出来る形はあるとの事。


都会でもハチミツを生産し、それでお菓子を作ったりレストランで出したり…という中で、少しづつ自然や生産する方々への関心も出てきて、田舎に農作業に行ってみるなど、農や農民達とも結びついてゆき、変わってきたとの事。


自分達だけでやるのではなく、大胆にいろんな人達と結びついてゆくことが大切で、閉じずに、いかに広く結びつくか、共同体・コミュニティという外との繋がりの大切さをお話下さいました。


地域文化をどう残してゆくか…

人々は、いろんな、みんな有利な立場を持っているから、それぞれの持つ有利さを活かすといい社会になる。

例えば、ゆったりとした時間は、たっぷりあるとか、体力はあるとか…



しなければいけないという圧迫は、良いことはないと言われていました。




さすが実際に山で自給的な暮らしをされ、村というコミュニティでの暮らしと都会での暮らしを体感されてらっしゃる方のお話は、具体的で説得力がありました。

納得できる事もたくさんで、とても参考になりました。


この感想は、内山さんの講演をお聞きして私が感じ解釈したモノですので、ご本人の仰る事を間違って受け取っている事もあるかと思います。


ご興味持たれた方は、たくさんの本も出版されてますし、講演もされてますので、どうぞ直接お聞き下さい。


内山さん、お世話して下さった皆様、どうもありがとうございました。