この季節になるといつも、思い出します。
天草の家には、作業場の裏に大きな梅の木が3本ありました。
毎年、青梅の時期、完熟梅の時期に、いろんな梅仕事をしていました。
梅干し、梅ジュース、梅肉エキスや梅酒などなど、たくさん採れる梅を友人にも声をかけて一緒に梅仕事してました。
数年前の青梅の時期。
木にたくさん実っている青梅をちぎっていました。
その時に、手に抵抗を感じて、あっ!と気がつきました。
採る時期ではないのだという事。
実は、熟してくると自然に落ちたり、触れても抵抗なく採れるのですが、青梅は、まだ木から離れる時期ではないので当然です。
そうだった…と思い、ちぎるのを止めて、自然に自分で落ちた実を拾いながら、「ごめんね。あなたは、どうすれば幸せなんだろう。あなたの幸せの為に私に何が出来る?どうしたら、気持ちよくイキイキと生きれる?」と問いかけていました。
自然の意思に沿って、動きたい…そう思って、梅の木の下を這うように梅を拾い続けながら。
すると、梅の木から
『 あなたは
あなたでいるだけ
私は
私でいるだけ 』
と聴こえてきたのです。
たぶん、耳で聴いたのではなく、心に直接伝わってきたのだと思います。
その言葉に、梅の木に抱きついてワンワン泣いてしまいました。
私(人間)が何をしようと、梅(自然)は、ただただ、自分自身を生ききるだけ。
その与えられた環境の中で、ただ自分を生きる。
だから、あなたは、あなたの好きに、あなた自身を生きればいい…そう言われた気がしたのです。
なんという愛なのだろう!と涙が止まらなくなりました。
自然はみんな、何も言わずに、人間の作った環境の中で精一杯自分自身を生きている。
そして、その恵みを頂いて人間も生きている。
それぞれが、自分自身を生きて、それぞれが、相手自身を理解して尊重し合う時、人も自然も共に幸せに生きれるんじゃないかなぁ…
人間は、自然の声を聴いているのだろうか…
寄り添って生きたい。
謙虚に、ただただ自分自身を生きている梅に、とても大きな事を教えてもらいました。